英語の適切な発音 / 母音 [A] [E] [I] [O] [U] [Y]

2018年6月

母音について

母音とは

母音とは舌や歯や唇で声の通り道を遮らない音。
舌や歯を動かしたり唇を閉じたりせずに、唇の形を変えるだけで発する音である。
母音はすべて有声音なので声を出す。母音で息だけの音というものはない。

短母音と長母音

母音の発音には、短母音(short vowel)と長母音(long vowel)がある。
二重母音(diphthong)も、英語圏では一般的に長母音(long vowel)と呼ばれている。

子音にも母音にもなる半母音

半母音とは、母音に近いが子音的な性質を持つ発音。WとYがある。
便宜上このサイトではWを子音に属させたが、Yはここ母音のページで説明する。

W
子音[w] --- 日本語ワ行の子音Wに類似
母音[u/ʊ] --- W単独ではなく、[au]など他の母音を伴ってこの発音になる
Y
子音[j] --- 日本語ヤ行の子音Yとほぼ同じ
短母音[i][ĭ] --- Iの短母音(Short I sound)と同じ
長母音[ai][ī] --- Iの長母音(Long I sound)と同じ

発音記号

英和辞典の発音記号はIPA (International Phonetic Alphabet / 国際音声記号) によるもの。
英和辞典にこの記号が載っているからといって英語特有のものというわけではない。
これは国際的な発音記号で、どの言語の発音もこの記号で表記される。当然、日本語もである。
一般的な日本人が日本語発音をこの記号で覚えているわけではないように、英語圏の人も言語学者でもない限り英語の発音記号を知っているわけではない。
ここでは、アメリカで発音を教える際に使われる伝統的な発音表記(US dictionary transcription)も載せる。

フォニクス(Phonics)

スペリングと発音の規則性に基づいて読み方を学ぶ方法をフォニクス(Phonics)と呼ぶ。
日本の子供たちが学校で漢字の読み方を学ぶように、英語圏の子供たちも学校で単語の読み方をフォニクスで学ぶ。
同じスペリングで複数の発音や例外的な発音もあり、英語の読み方に絶対的な規則性はないが、フォニクスを知っていると発音の判断ができる。
母音はスペリングによって変化し、二重母音やRを伴う母音を含めると20個以上にも及ぶ。

Magic E (マジックE) / Silent E (サイレントE)

発音しない語尾のEのこと。マジックE直前の母音は常に長母音となる。

例:tap[tæp] → tape[teip]

Short A sound [æ][ă] A の短母音

日本語「ア」と「エ」の中間の音。日本語「ア」の口の形で「エ」と発音する。

at   cat   bath   plan   past

Long A sound [ei][ā] A の長母音(二重母音)

1音で「エィ」と発音する。これで1つの母音なので「エ」と「イ」が同じ強さだったり「エー」とのばしたりしない。

マジックe直前の a --- ate   bathe   plane   paste
節末の a --- ba/sic   la/dy   A/pril
・ai --- aim   wait   trail
・ay --- May   say   pray
・ei --- reindeer   veil   vein
・eigh --- eight   freight   weigh
・ey --- hey   obey   whey

Short E sound [e][ĕ] E の短母音

ほぼ日本語の「エ」と同じだが、もう少し口を横に広げて短く強く「エ」と発音する。

・e --- pet   them   nest   spend
・ea --- head   ready   sweat

Long E sound [i:][ē] E の長母音

日本語の「イー」よりも更に口を左右に引っぱり「イー」と発音する。
その際、舌はどこにもついていない。(日本語のイーは舌の両側面が歯につく)

マジックe直前の e --- Pete   theme   gene
節末の e --- be   e/ven   le/gal
・ea --- each   tea   speak
・ee --- eel   bee   need
・ei --- ceilling   receive   seize
・ey --- key   money   hockey
・ie --- chief   field   believe

Short I sound [i][ĭ] I の短母音

舌全体をどこにもつけないで口の力を抜いて「イ」と発音する。
日本語「イ」と「エ」の中間の音で、しばしば「エ」に近く聞こえる。
日本語の「イ」は舌の両側を歯につけて発音するので英語のIの発音とは違う。

・i --- bit   rid   win
・y --- gym   very   mystery
一部の e --- English   begin   example   decide

Long I sound [ai][ī] I の長母音(二重母音)

1音で「アィ」と発音する。これで1つの母音なので、「ア」と「イ」を同じ強さで発音しない。

マジックe直前の i --- bite   ride   wine
節末の i --- i/tem   Chi/na   ti/ger
マジックe直前の y --- bye   type   cycle
・y --- cry   deny   July
・ie --- lie   pie   fried
・igh --- high   night   bright
・nd が続く i --- kind   mind   grind

Short O sound [ɑ/ɔ][ŏ] O の短母音

英和辞典には「ɑ」「ɔ」が一緒に記されていることが多い。
「ɑ」はアメリカ式発音で「ア」に近く、「ɔ」はイギリス式発音で「オ」に近い。

ɑ
日本語の「ア」よりもっと口を開けて口の奥から発音。 「ア」の口の形で「オ」を発音するといったところ。 日本語の「ア」は口内の前部(前舌)で発音するのに対し、これは日本語の「オ」と同じ口内の奥(後舌)で発音するので「オに近いア」の音になる。
ɔ
日本語の「オ」に近い音だが、口をもう少し縦に開け口の奥から「オ」と発音。

・o --- dog   hot   rock
・w に続く a --- want   wash   water

Long O sound [ou][ō] O の長母音(二重母音)

「オ」と「ゥ」を1音で「オゥ」と発音。これで1つの母音なので「オ」と「ウ」が同じ強さだったり「オー」とのばしたりしない。

マジックe直前の o --- hope   robe   note
節末の o --- o/pen   ho/tel   so/fa
・oa --- oak   road   toast
・oe --- hoe   toe   goes
・ow --- owe   bow(弓)   snow
・ou --- soul   shoulder
・L が続く o --- old   roll   volt
・LK が続く o(Lは発音しない)--- folk   yolk

Short U sound [ʌ][ŭ] U の短母音

日本語の「ア」より少しだけ口を狭め、喉の近くで「ア」と発音。
日本語の「ア」に近いが、次に来るスペルによっては「オ」に近く聞こえることもある。

・u --- us   bug   cup   sun
・o --- oven   son   front
・ou --- cousin   double   touch

Long U sound [ju:][ū] U の長母音

日本語の「ユー」よりも唇をもっと丸めて「ユー」と発音。

マジックe直前の u --- use   cute   huge   tube
節末の u --- u/nit   hu/man   mu/sic   men/u
・ue --- cue   due   value
・ew --- few   dew   chew

Short OO sound [u/ʊ][ŏŏ] U(OO) の短母音

「ウ」と「オ」の中間の音。日本語の「ウ」よりも唇を心持ち緩め「オ」と発音。

・u --- bushy   full   push
・oo --- book   good   foot

Long OO sound [u:][ōō] U(OO) の長母音の

日本語の「ウー」に似ている音だが、唇をもっと丸めて「ウー」と発音。
母音の中でもっとも唇を丸める音。ちなみに、これより更に唇をすぼめた音が子音Wの音。

マジックe直前の u --- flute   June   rule
節末の u --- flu   ru/by   tru/ly   su/per
・ou --- soup   wound   group
・oo --- zoo   cool   food   room
・ui --- suit   fruit   juice
・ue --- sue   true   blue
・ew --- crew   flew   threw

Y [j][y] Yの子音

舌の両サイドを上歯内側に強く押し当てて「イ」と発音。日本語ヤ行の子音「Y」と同じ。
日本語の「イ」に近いがもっとギュッと舌の両側面を上歯の両サイドにつける

yard   yield   you   yen   yolk

IPAでは、日本語の「イ」は「i」に属するが、実際は舌の両サイドを上歯内側に当てて発音しているので、子音「Y」に近い発音をしている。
だから、日本人にとって「east と yeast」や「ear と year」の区別が難しい。

ea --- 舌がどこにもつかない「イー」
yea --- 舌の両サイドが上歯の両サイドにつく「イー」
inserted by FC2 system