英語の適切な発音 / 子音 [T] [D]

2018年3月

英語を上手く発音したいなら子音だけの発音練習は不可欠。英語の子音を上手く発音するには・・・

1) 意識して息を多く吐く
 音声学上では日本語と同じ子音とされるものでも、英語の子音はもっと強い音。
2) 母音がつかないようにする
 日本語は母音を伴う発音であるため、ついつい母音までついでしまいがち。
 解説では便宜上その音をカタカナでも記しているが、カタカナはあくまでも参考イメージ。
 そのカタカナどおりに発音すると、母音もつくことになり子音だけの音ではない。
3) 子音は「発音」というより「雑音」をイメージすると良い
4) 無声音(息だけの音)なのか有声音(喉から声を出す音)なのかを認識する

T [t](無声音) tin / hot

舌先を上歯茎の裏側にしっかりつけてから、勢いよく舌を開放させて出したときの「トュッ 」という音。発音できるのは息を出す一瞬だけ。
日本語の「タ(ta)/テ(te)/ト(to)」の子音Tと同じだがもっと息の量が多い。

D [d](有声音) dew / red

Tの発音方法で声を出したときに出る「ドュッ 」という音。発音できるのは声を出す一瞬だけ。
日本語の「ダ(da)/デ(de)/ド(do)」の子音Dと同じだがもっと息の量が多い。

アメリカ英語のT/D発音は弱いがそれを真似する必要はない

water がウォーラー、better がベラー、Pの発音のところで示した例文「keep it up」の途中のTなど、日本人にはラ行のように聞こえるアメリカ英語のT発音だが、その音をわざわざ真似てラ行にする必要はない。
アメリカ英語のTは弱くDの音に近くなっているだけだが、それが日本人にはラ行の音に聞こえてしまうだけなのだ。
「winter(冬)」 が日本人の耳にはウィナーとTを省いたように聞こえるが、彼らは決して「winner(勝者)」と同じ発音をしているわけではない。 ちゃんと「winter(冬)」と言っているが、Tの発音が弱いだけなのだ。

アメリカ英語であろうとイギリス英語であろうと日本語であろうとTの発音は[t]なのだ。
それをわざわざ、日本語の「ラ行」で発音すると、アメリカ英語以外の英語圏の人にはまず通じないし、アメリカ人にさえ通じないこともある。
相手がアメリカ人であっても、こちらが話すときはTの発音は[t]の発音で話す方が通じやすい。まあ当然といえば当然だが。

弱すぎるT/Dの発音は、アメリカ人さえも「だらしなく聞こえる」と言って好まない人がいる。
「I don't know」 が「アイロンノー」と聞こえるからといって、アメリカ英語を母国語としない人が真似てそう発音すると、ただの舌足らずにしか聞こえない。
「アメリカ英語はバカっぽく聞こえる」と言う人もいるが、それはそういった sloppy な話し方が強い人のことを指しているのだろうと思う。

イギリス発音では、Tをしっかり発音する。
他の発音はアメリカ発音でもTの発音に関してはイギリス発音をマスターすることを薦める。
品がある上に英語圏の人にも英語圏でない人にも通じるからだ。
例えば、better の発音は、日本語では「ベター」と発音し、「ター」の部分で舌全体がベッタリと上あごにつく。 日本語では常に母音と一緒の発音なので必然的にそうなる。
この「ター」の部分を「tter」にするべく、舌先だけ上歯茎の裏につけて発音するとイギリス英語の「better」の発音になる。

サイレントT/D以外でT/Dの発音を端折らない

cat や bed などのような語尾のTやDが聞こえないからといって端折らない。
日本人の耳には聞こえづらいだけで、英語ネイティブは語尾のTもDも舌先を上歯茎の裏側につけてちゃんと発音している。

発音しないT/Dは、以下のサイレントTやサイレントDだけである。

サイレントT
* castle や hustle などスペル -stle の t
* listen や fasten などスペル -sten の t
* buffet, gourmet, ballet, ricochet, chalet など フランス語から派生した語尾の t
* mortgage, Christmas, chestnut の 途中の t (規則性のないサイレントTはこの3つのみ)

サイレントD
* handkerchief, Wednesday の 途中のD(サイレントDはこの2つのみ)

often は「オッフン」?

学校では当たり前のように「often は『オッフン』で[t]は発音しない」と習う。
そのため、当教室へ来る人のほぼ100%が当たり前のようにそう思っている。
いや、決して間違いではないのだが、当教室では必ず「t」付きの often の発音を指導する。

1700年代まで often の [t] は発音されていた。それが歴史とともに [t] を省いて発音されるようになった。 しかし、実は現在、また [t] 付き often で発音されるのが日常化してきた。
現代もつい最近のことではなさそうだ。
今年64歳になるアメリカ人の主人いわく「often」の [t] を省く発音は聞いたことがないと言う。
だからなのか「often の t を省く発音なんて学がない人の発音だろう」とまで言う。
辞書には [t] 付き、[t] なし、両方の発音が載っているので、どちらも間違いないのだろうから、さすがにこれは言いすぎかとも思うが。
しかし、実際には [t] 付き発音の often の方が一般的というのが現状なのだろう。

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